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これでいいのだ

 昨年、漫画家の赤塚不二夫さんが亡くなられた時の葬儀に、タモリさんが弔辞を読まれたのですが、その中で次のような言葉があったそうです。

 あなたの考えは、すべての出来事、存在をあるがままに、前向きに肯定し、受け入れることです。それによって人間は重苦しい陰の世界から解放され、軽やかになり、また時間は前後関係を断ち放たれて、その時その場が異様に明るく感じられます。この考えをあなたは見事に一言で言い表しています。すなわち『これでいいのだ』と。(タモリさんの弔辞より引用)

 私たちは、「あの人のせいで」とか「あの時ああすればよかった」と後悔して生きたり、「あれが手に入れば幸せになるのに」とか「こうであればもっと良いのに」とないものねだりをして、今を生きるということを忘れています。

 人生には失敗も挫折もあります。また誰でも欠点も短所も長所もあります。しかし、どんなに苦しくても、どんなに悲しくても、すべての出来事、存在をあるがままに受け入れることができた時に、人はどんな状況の中でも生きていくことができると思います。

 私たちは他と比較して、勝っていれば優越感を抱きますし、劣っていれば劣等感を抱きます。しかし、比較の世界は、優越感が一瞬にして劣等感に変わります。比較の世界に本当の安心はないと思います。本当の安心は、「これでいいのだ」と全てを受け入れることができたときに生まれると思います。

 左鐙には専業農家で生きている人が何人もいます。耕地面積の小さい山間の地で農業をすることは大変なことです。しかし、たとえどんなにきつくても、たとえ収入が他と比較して少なかったとしても、自分はこの仕事を生涯のライフワークとして生きていくのだと胸を張って生きている人たちです。

 タモリさんは、弔辞の最後にこのように締めくくられました。

 
 赤塚先生、本当にお世話になりました。ありがとうございました。私もあなたの数多くの作品の一つです。(タモリさんの弔辞より引用) 

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